製材のみでつくる木材加工場/平川木材工業新第三工場
敷地は、福岡県うきは市内。周囲に多くの山があり、福岡県で唯一2社、構造用のJAS製材をつくる工場がある地域である。施主は木材の仕上げ材を加工して販売する平川木材の3つ目の工場の新築工事。施主は福岡県木材連合組合の会長で、これまでの木加工場は、鉄骨で暑く、働く人の環境が良くないこと、地域の木材を使いたいこと。その点から全て製材による木加工場をつくることに挑戦。さらに、新しい事業への転換をし、木材利用を促進するため、5軸の加工機を導入。フォークリフトで6mの木材を振り回すことができる約20m×30mの作業空間を確保した。地域の技術で作った汎用性のある大空間を実現するため、梁の鉛直材は引張材、斜材は圧縮材として機能する平行弦トラスを採用。斜材に引張材が発生するので、高強度の既製品ホームコネクターで接合し、木造の接合部も美しく計画した。柱は、細長比の関係から120角の束柱のラチス形式に、在来軸組による筋交をバランス良く配置し、天井材も水平ブレース含め全て木材によって構成した。接合分が多く、複雑化するため、3DCADにより、構造と意匠のBIMによる連携で、木接合分の加工と金物の詳細図を作成し、施工性を向上させた。建設費は住宅用流通製材120幅のE50同等で計画することで、コストカットを実現。ただ、6m材の量が多く、地元では必要量の供給ができなかったため、宮崎県から調達した。 今後は地元材での調達ができるようにしたい。金物は、既製品を利用しコストを抑え、躯体の木材使用材料は約 100m3で計画し、0.17m3/m2となり、木造2階建て住宅同等程度となり、軒高 9m以下で計画することで、ルート1の構造計算とし、経済設計とした。 現在は作業環境をリサーチしており、将来的には隣地の土地を購入し、次に工場を広げる計画に反映したいと考えている。
業務:設計
工事:新築
面積:582.98㎡
階数:平屋
構造:木造
用途:倉庫
施主:株式会社平川木材工業
竣工:2022年11月
施工:株式会社橋本建設
協力:意匠:アサクララボ(舌間雅二)、構造:(株)髙尾設計、監理:株式会社アキヤマインダストリー
写真:倉掛設計事務所